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トランスアート・レーベル CD TR141 〜 TR150 (フランス)

CD:TRM141 国内盤 D.スカルラッティ:ピアノによるソナタ集 ドメーニコ・スカルラッティ(1685〜1757)

1. ソナタ イ長調 K.322 / 2. ソナタ ロ短調 K.27 / 3. ソナタ ハ短調 K.11 / 4. ソナタ ハ長調 K.159 / 5. ソナタ ニ短調 K.9 / 6. ソナタ ホ長調 K.380 / 7. ソナタ ト長調 K.55 / 8. ソナタ ヘ短調 K.466 / 9. ソナタ ト長調 K.146 / 10. ソナタ ハ長調 K.132 / 11. ソナタ ヘ短調 K.519 / 12. ソナタ ロ短調 K.87 / 13. ソナタ ト短調 K.8 / 14. ソナタ ニ短調 K.32 / 15. ソナタ 二短調 K.64 / 16. ソナタ ト長調 K.125 / 17. ソナタ ニ長調 K.29 / 18. ソナタ ト長調 K.427

マルセラ・ロジェリ(ピアノ)

昨年のサティ盤でみせた妖艶さから、すっきりと 洗練された「大人のノーメイク」調に。淡々としつつも変幻自在、深夜にしっとり聴きたい極上スカルラッティ昨年TRANSARTからリリースされた、夜気を感じさせる妖艶なサティ・アルバム(TRM134)が印象的だっ たゲルバー門下のアルゼンチンのピアニスト、マルセラ・ ロジェリ。

コープランドやヴィラ=ロボスなど近代ものが得意と聞いていたが、第2作は意外にもD.スカルラッ ティ。かなり色々なアプローチが出尽くした感のあるピア ノ版スカルラッティに、なぜいまさら…と思ったものの、一 聴すれば感慨も改まるというもの。

さっと数曲聴き流している段階では、サティの濃厚路 線から一転・淡々とした演奏のように感じられるものの、 なんとなく聴きすすめるうち、サティ盤での何やらうっす らまとわりつくようなリズム感が今回も健在で、忘れられ ない記憶を奥に秘めつつ表面上はさっぱりふるまう大人 のアプローチ…といった魅力がじわじわ感じられて、ど んどんハマってしまうから不思議なもの。あとから効いて くる。

ピアノのダイナミズムを生かしてスカルラッティのアクロ バティック性を強調する…というより、ピアノならではの タッチに直結したニュアンスの自在さを武器に、しっとり とした語り口で、スカルラッティの旋律と和声にひそむ機 微を彫り上げてゆくような感覚。聴き込み甲斐のあるア ルバムをじっくり売ってゆきたい売場様にはぜひおすす めしたい――即効性もオーセンティシティもないスロウな アイテムながら、内容の充実度は格別である。


CD:TRM142 国内盤 2,940円 バッハ:パルティータとトッカータ / ブリュノ・フォンテーヌ (p)


CD:TRM143 国内盤 2CD 4,515円 ジョルジュ・プルーデルマッハー(プリュデル・マシェール) ラヴェル:ピアノのための作品集

レコード芸術2007年10月号に掲載された作品です。新譜月評 器楽曲 特選盤 に選ばれました。過去の掲載作品はこちら

モーリス・ラヴェル(1875〜1954)
古風なメヌエット / 亡き王女のためのパヴァーヌ / 鏡 / ソナチネ / 夜のガスパール / HAYDN の名によるメヌエット / 高雅にして感傷的なワルツ / シャブリエに倣って / ボロディンに倣って / プレリュード / クープランの墓 / ラ・ヴァルス(作曲者によるピアノ独奏版)

ジョルジュ・プルーデルマッハー(ピアノ / ステファン・パウリェーロ製作)

生前のラヴェルと関わりの深かったジャック・フェヴリエに師事、引き継いだ“秘伝”を惜しみなく盛り込んだというプルーデルマッハー入魂の作品集、2枚組で堂々登場!
新たな境地で21世紀に伝えられる伝統の高雅さ――ピアノ版『ラ・ヴァルス』にも御注目!

2005 年のドビュッシー作品集から2年――フランス最大のピアニストのひとりジョルジュ・プルーデルマッハー(プリュデルマシェール)が、ついにラヴェル作品集をリリース!

ドビュッシー作品集と前後して2003 年のランス夏季音楽祭でライヴ録音されたというこの「ほぼ全集」、注目はあの管弦楽の名作『ラ・ヴァルス』をラヴェル自身がピアノに編曲したヴァージョンも収録しているところでしょう…濃密かつ繊細な和声推移をみせるあの傑作を、管弦楽的なゴージャスさを失わぬままピアノ特有の響きで再現する手腕には脱帽です!

ちなみにこの2枚組、各CD がそれぞれ師匠のひとりジャック・フェヴリエと、20世紀を代表する舞踏家のひとりジョルジュ・バランシンに捧げられています(『ラ・ヴァルス』や『高雅にして…』の演奏はもちろん「バランシンに」のほうに収録)。

そう、フェヴリエ――周到なファンならご存知のとおり、ラヴェル本人ともつきあいのあった名ピアニストこそがプルーデルマッハーの師匠なわけで(彼は他にもピュイグ=ロジェやジュヌヴィエーヴ・ジョワなどに師事しています)、彼特有の明晰なタッチのなかにも、フェヴリエから伝えられたというラヴェル自身の演奏秘儀が込められている、とのこと。

玄妙そのものの「亡き王女のためのパヴァーヌ」、絶妙のコントロールで跳ね回るスカルボ、ほんとうに鐘や蛾をまのあたりにするような「鏡」、そしてまさに巨匠然としたソナチネ...フランスの伝統を新世紀に息づかせた、どこをとっても聴き所だらけの大・推薦盤です!


CD:TRM144 TRANSART 国内盤 2,940円 モーツァルト:歌劇序曲集 / プラハ室内管弦楽団

レコード芸術2007年8月号に掲載された作品です。新譜月評 管弦楽曲 に掲載されました。過去の掲載作品はこちら


CD:TRM149 国内盤 2008年1月16日発売予定 2,940円 マリラン・フラスコーヌ(ピアノ)

リスト:ダンテ・ソナタ、死の舞踏(フォン・ビューロー編) 他

フランツ・リスト(1811〜86)

1. ダンテを読んだあと(ソナタ風幻想曲)〜『巡礼の年 第2年:イタリア』より
2. ヴァレンシュタインの湖 〜『巡礼の年 第1年:スイス』より
3. フュネレール(葬送)〜『詩的で宗教的な調べ』より
4. 夜想曲「夢のなかで」
5. 演奏会用練習曲「森のざわめき」
6. 演奏会用練習曲「古鬼たちの円舞」
7. 灰色の雲
8. 交響詩「死の舞踏」(フォン・ビューロー編)
9. モーツァルトの『レクィエム』より「涙の日」 (リスト編)

ネマーニャ・ラドゥロヴィチやロール・ファヴル=カーンを世に送り出したTransartから、またもやとんでもない技量のピアニストがあらわれた! “深遠系”のリスト作品群で無辺に広がる音楽性を印象づける――フォン・ビューロー版『死の舞踏』にもご注目あれ!

母体は老舗音楽事務所、若手発掘にも余念がないTransartレーベルがまたもや、あのネマーニャ・ラドゥロヴィチのソロ盤(TRM136)のときと似たような“嬉しい驚き”を提供してくれました!(あれも最初かけてみるまで「…若手売り込み?」と思ったものでして…)こちらもぱっと見、パリで修行中のアメリカ系ピアニスト?と思いきや、れっきとしたフランス人。

ヴェテラン・リスナーには懐かしいフランス・ピアニズムの担い手たる名手アニー・ダルコの教えを受け(ぴりっとワサビの効いたエスプリは彼女ゆずりでしょうか)、その後フランス政府から奨学金をもぎとってチャイコフスキー音楽院に留学、ルガンスキーやブーニンを育てたことで知られる名教師セルゲイ・ドレンスキー門下でみっちり修業を積んできたとのこと。

以前リストのロ短調ソナタとラヴェル『夜のガスパール』を収録したアルバムなどで大評判をとったようですが、このたびTransartからリリースされたのは、リストの中・後期作品集――冒頭のダンテ・ソナタはとほうもない指まわりを印象づけるため…かと思いきや、官能的なクライマックスのつくりかたといい、細かな呼吸と全体の構成感とのバランスといい、いたるところで「ちょっと只者じゃないぞ」と思わす名演ぶり。

その後も地味系リストがつづくなか(ヴァレンシュタインの湖、葬送…)底知れないスケール感と一本筋の通った安定感、なんとも薫り高い色彩感をたたえて連ねられる響きには、曲の印象もがらりと変わるほど。さらに「森のざわめき」や「灰色の雲」で絶妙のセンスと技量をみせつけるも、圧巻は大ピアニスト=大指揮者フォン・ビューローの手になる「死の舞踏」…コアなユーザーも感涙必至の選曲を、こんなにエキサイティングに聴かせてくれるとは!末恐ろしい逸材です、ぜひご注目を!