
CD:RAM0601 RAMEE 国内盤 2,940円 アントン・エーベルル、モーツァルトの後継者 〜クラリネットを伴う室内楽作品集
アントン・エーベルル(1765〜1807)
1. 三重奏曲 変ホ長調 作品36 〜クラリネット、チェロとピアノのための
2. クラリネットとピアノのためのソナタ 変ロ長調 作品10−2
3. 五重奏曲 ト短調 作品41* 〜ピアノ、クラリネット、2挺のヴィオラとチェロのための
*スティーヴン・フリーマン&フラウケ・モーイ(ヴィオラ)
トリオ・ファン・ブリュッヘン=ファン・ヘンゲル=フェーンホフ(古楽器使用) / ニコル・ファン・ブリュッヘン(cl) / バス・ファン・ヘンゲル(vc)アンネケ・ファンホーフ(fp)
コンチェルト・ケルンの名盤で知られる夭逝の天才エーベルルのひたすら豊かな室内楽作品を3曲も収めた注目アルバム!
晩期古典派の雄大な楽想を、瑞々しい古楽器演奏で味わえる!
CARO MITISからのベートーヴェンの好敵手だったヴェルフルのアルバムに続き(CM002-2005 発売中)、今度はRAMEEから、同じく19世紀初頭に人気作曲家として鳴らしたアントン・エーベルルの室内楽作品集が登場――それぞれ大規模なソナタ系作品を、なんと3曲も収録してくれている!
エーベルルは晩年のモーツァルトに師事した作曲家で、早くから熟達した作曲手腕をふるって当初は自作品が何作もモーツァルトの名で出版されたりしていたほど。
そのまま芸術性をどんどん養いつづけ、1805年4月にベートーヴェンの「英雄」が初演されたコンサートで同時に演奏されたエーベルルの変ホ長調交響曲(「英雄」と同じ調性である)を聴いた当時の愛好家・批評家諸氏はこぞってエーベルルの方に軍配を上げたという。本盤に収録された3作もそれぞれに緻密な書法と19世紀初期ならではの雄大な構想にもとづく古典的形式感が実にすばらしく、ダンツィやクルーセルらにみられるような「モーツァルト妄執世代」特有の“切なさへの憧れ”が美しく滲み出た秀逸な仕上がり――最後に収録された短調と長調が不思議な入り混じりをみせる五重奏曲などは、モーツアルト流儀の悲哀と諧謔の混濁のなか、さながらグリンカの悲愴トリオをさえ予感させる瞬間もあったり、過渡期ならではの偶発的な面白み満載だ(クラリネットとヴィオラ2本という異例の中音域の厚さが何ともいえぬ滋味を醸し出している点も魅力)。
18世紀末ウィーン式のフォルテピアノの的確なスケール感と新鮮さ、ひなびすぎず、しっとりと温もりをたたえた古典式クラリネット、アクセント確かなチェロの響き…と、各古楽器奏者たちの楽音もRAMEE随一のエンジニアリングにより親密な距離感で古色蒼然とうつくしく収められ、一体感あるアンサンブルとともに曲の豊かさ・面白さがよく伝わってくる。完成されたウィーン古典派美学が、ありありと質感を帯びて蘇る…美麗デジパック・ジャケの装飾が連想させるような、極上のアンティーク家具のごとき名盤なのだ。 |