ミロシュ・ポポヴィチ(ピアノ)

シューマン:子供の情景、

ピアノ・ソナタ第1番、三つのロマンスOp.28

 

MFUG528 国内盤 2,940

 

【収録曲目】

ローベルト・シューマン(181056

1.     三つのロマンス 作品28

2.     ピアノ・ソナタ 第1番 嬰へ短調

3.     子供の情景 作品15

 

ネマーニャ・ラドゥロヴィチにつづく?セルビアの“恐るべき天才児”、あらわる!

冷徹なまでの技巧の冴えは今更いうまでもなく、自由自在にそれを操る腕前がたまらない

 秘作には生命を、有名作品には静かな驚きを。先々まで楽しみな逸材、静かにデビュー!

 

ベルギー歴戦の敏腕プロデューサーたるFuga Libera主宰者が「こいつはすごいよ、化けるよ」と胸を張って売り出してきたセルビアの新人ピアニスト、いきなりシューマンでデビューというのは当たり外れが両極端になりそうなものですが、これはど真ん中、先々まで楽しみな「当たり」でございます! 軟弱系小品群とかそんなものではなくて、冷徹なまでに全体を見据えたうえで、東欧的・バルカン的・異国的な底知れなさをビンビンと感じさせながら、冴えわたりまくった隙のない技巧(しかも「俺すげえだろオーラ」を全く出さないのが憎いところ)で抑揚豊かに織り上げてゆくシューマン世界の、なんと堅固なこと! プログラムも渋いところ+超有名曲という「気になる構成」で、絵本のようなジャケットとあいまって、シューマン通も一般ユーザーもひとしく魅了してくれそう。

 

曲順は「知られてない順」――その時点でかなり本気度を感じる、なかなか確信犯的なやり口ですが(19世紀的な組み立て方からすればソナタが大トリになりそうなものを、わざわざ逆に「子供の情景」の前にもってくるあたり...)じっさい演奏内容も真正面からシューマンとぶつかって、みごとに形にしてしまっているから恐れ入ります。

 

ピアノ曲しか書かなかった時期の最後のあたりに書かれた「三つのロマンス」でまずシューマンお得意の三部構成を印象づけ、昼の正餐というかど真ん中で大曲ソナタをがっつり堪能させ、最後にじっくり、「子供の情景」の独自的解釈を味あわせる...という仕組み。モグレフスキとエル=バシャが彼の師匠といいますが、とくに後者のセンスに相通じるものを感じました。ぜひご一聴を――