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アーリー・ミュージック・レーベル CD EMCCD7753 〜  (カナダ)

CD:EMCCD7765 Early-Music.com 国内盤 定価2,940円 ダニエル・キュイエ指揮 アリオン・バロック・オーケストラ(古楽器使用) / 田園は楽し J=F.ルベル 18 世紀のバレエ音楽 5月下旬発売予定

ジャン=フェリ・ルベル(1666〜1747)
1. 組曲「テルプシコル」
2. 組曲「舞踏さまざま」
3. カプリース(気まぐれ)
4. 組曲「田園の悦楽」
5. ファンテジー(幻想)
6. 組曲「四大元素」
ダニエル・キュイエ指揮 アリオン・バロック・オーケストラ(古楽器使用)
ストラディヴァリアの主宰者を客演指揮に迎えた新譜は、まさに「みずみずしい」の一言!
整然と揃いつつニュアンス豊かな弦音、のどかに歌うオーボエ、通奏低音のアクセント...
次々と移り変わる変幻自在のリズムがかもし出す幻想気分は、ヴァトーの雅宴画そのもの!

ダニエル・キュイエといえば、古くは今はなきADDA、今ではCypres やMirare で数多くの名盤を制作しているEns.ストラディヴァリアの主宰者で、フランス古楽シーンの草分け的バロック・ヴァイオリン奏者。そのキュイエが、フランス語圏カナダきっての古楽集団アリオンに客演指揮として登場! バッハやラモーの同時代人、変幻自在のリズムの魔術師ともいうべきルベルのバレエ音楽をぎっしり詰め込んだ極楽バロック・アルバムを作り上げました。当時のフランスでバレエ振付師といえば百発百中ヴァイオリニストだったそうですが、キュイエも長年レザール・フロリサンのコンマスとしてフランス劇音楽の様式をつちかった人ゆえにか、こうしたバロック舞踏曲のまとめ方・緩急のつけ方のセンスは超一流!整然と揃いつつニュアンス豊かなアリオンの音楽性をぞんぶんに生かしながら、みずみずしく連ねられるサウンドはまさに絶品! 指揮者(フォル・ジュルネ)・オーケストラ(11月)ともども昨年来日が大好評だった面子だけに、この名演の登場は嬉しいサプライズです!


CD:EMCCD7757 Early-Music.com 国内盤 定価2,730円 聖母マリアにまつわる独唱カンタータ 〜ヴィヴァルディ、ヘンデル、A.スカルラッティ、フェルランディーニ

アントニオ・ヴィヴァルディ (1678〜1741)
1. 聖母は立てり、悲しみて (=スターバト・マーテル)RV621

ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル (1685〜1759)
2. ああ、あまりに不公平なこと HWV230
                
アレッサンドロ・スカルラッティ(1660〜1725)
3. ごきげんよう、天の皇后 (=サルヴェ・レジーナ)

ジュゼッペ・フェルランディーニ(1705〜93)
4. マリアの嘆き(伝ヘンデル作・HWV234)

アニェス・メロン(S)マシュー・ホワイト(C-T)
アリオン・バロック・オーケストラ(古楽器使用)
モニカ・ハジェット(ヴァイオリン・指揮)

アニェス・メロン、Early-Music.comに登場!!
どこまでも鮮やか、深みある歌い口の圧倒的な美! ホワイトの高音もまた美し。そして指揮はハジェット!

 注目すべきは独唱者。なんと、ソプラノは「あの」名花アニェス・メロンではないか! ドミニク・ヴィスのパートナーでもあり、W.クリスティやヘレヴェッヘ、マルゴワールらとフランス古楽界最初の黄金時代を彩った忘れがたい歌い手は、21世紀に入り表現力を益々深めている。本作は昨年リリースされたAlphaのフランス・カンタータ集より僅か前の録音で、綺麗に細い彼女なりの声にはさらに真に迫るものが加わり、よりじっくりと作品美を堪能させてくれるようになった(その点では最近のカークビーと同様か)。
  収録されている4作は独唱がオペラばりの華麗なソロを聴かせるタイプの曲で、どれもバロック後期、すなわち大半のクラシック・ユーザーにアピールしはじめるであろう時代の聴き応えある大曲ばかり。北米を中心に活躍しているカナダのカウンターテナー歌手ホワイトがアニェス・メロンと交代で独唱に立ち、こちらも忘れがたく水際立った歌唱を聴かせてくれる。そして彼らの歌にさらなる精彩を添えるのが、気鋭団体アリオン!匂い立つパッションを見事に統率しているのが、これまた古参実力派モニカ・ハジェット(!)というから嬉しい!
  ヴィヴァルディやヘンデルといったビッグネームはユーザーへのアピールにもなるし、最近密かに録音の増えているミュンヘンの鬼才フェルランディーニの秀逸作が聴けるなど玄人好みの仕掛けもある。文句なしに古楽コーナーを引き立てる強力盤となってくれそうだ。


CD:EMCCD7758 Early-Music.com 国内盤 定価2,730円 リュートではなく、クラヴサンで 〜17世紀初頭、黎明期のクラヴサン音楽

1. 組曲 イ短調 〜L.クープラン、ガロ、ゴーティエの作品による
2. 組曲 ハ長調 〜シャンボニエール、ゴーティエ、ダングルベールの作品による
3. 組曲 ニ短調 〜デュフォーとゴーティエの作品による
4. 組曲 ヘ長調 〜ピネル、ゴーティエ、L.クープランの作品による

ジョアンヌ・クチュール(クラヴサン)
  使用楽器:ヴォドリ1681年(ヴィクトリア & アルバート博物館所蔵)のモデルに基づきイヴ・ボプレが製作

なんと麗しくも興味深い“音のアントルメ”! リュートからの編曲ばかりだった初期クラヴサン音楽の世界を、たおやかな演奏でみごとに再現!

これはまたきわめて興味深いアルバムなのである。というのも、最高の楽器はあくまでリュートで、クラヴサン(=チェンバロ)がまだ“新しい楽器”だった17世紀初頭のフランスで、どのようにクラヴサンが弾かれていたかを、歴史的に理にかなったやり方で示してくれているからだ。
  そもそもフランスで当初からクラヴサンを意図して音楽が書かれるようになったのは17世紀中旬になってからで(シャンボニエールは唯一の例外的存在にすぎない)、イタリアやイギリスでチェンバロ芸術がさかんに開拓されていた17世紀初頭、何かにつけ新しいもの嫌いの(?)フランスでは、ゴーティエ父子やガロといった偉大なリュート奏者たちのレパートリーをクラヴサンで弾く機会のほうが圧倒的に多かったようで。事実、後年のダングルベールさえリュート作品の編曲を数多く手がけているくらいだ。その上、17世紀にはかなりしばしば複数の作曲家の作品をひとつの組曲にまとめて演奏することもあった(多くの写本がそうした状況を裏づけている)。カナダの名門マクギル音大とオランダのスヴェーリンク音楽院に学んだ俊英クチュールはかくて、17世紀のリュートのために書かれた作品とクラヴサンのための作品をさまざまな写本から集め、作曲家はさまざま、調性ごとにまとめて四つの組曲を再構成したのだ。そしてフランスのクラヴサン語法に精通した演奏の、圧倒的なまでの説得力...!きわめて自然でたおやかな語り口ゆえ、すんなりと17世紀に連れ去られてしまうだろう。古楽好きにはマスト!としてお薦めしたい――解説も充実、クラヴサン音楽の概念を問い直す頼もしいアルバムだ!


CD:EMCCD7762 Early-Music.com 国内盤 定価2,730円 バッハからモーツァルトへ 〜最小編成によるトリオ・ソナタ集

ヨーハン・ゼバスティアン・バッハ (1685〜1750)
1. フルートとオブリガート・チェンバロのためのソナタ ロ短調 BWV1030
2. トリオ・ソナタ 第3番 ニ短調 BWV527     

カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ (1714〜88)
3. フルートとオブリガート・チェンバロのためのソナタ ニ長調 Wq.83

ヨーハン・クリストフ・フリードリヒ・バッハ (1732〜95)
4. チェンバロ・コンチェルタントとフルートのためのソナタ ヘ長調 Wf.VIII-1

ヨーハン・クリスティアン・バッハ (1735〜82)
5. フルートまたはヴァイオリンとチェロの序奏つきチェンバロ・ソナタ ト長調 作品2-2

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト (1756〜91)
6. ヴァイオリンまたはフルートの序奏つきチェンバロ・ソナタ ヘ長調 K.13

クレール・ギモン(フラウト・トラヴェルソ)
ヤープ・テル・リンデン(バロック・チェロ)
ガリー・クーパー(チェンバロ)

実力派たち3人が揃い、4人分の音楽を響かせる!
チェンバロの右手を1パートに見立てた新分野の変遷を、絶妙のアンサンブルと音色でたどる好企画

  かたやモーツァルトの四重奏曲やテレマンの協奏曲集など、Early-Music.comで多元的な音楽性を発揮している古楽フルート奏者ギモン。かたやASVでの名盤群やレイチェル・ポッジャーと録音しているモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ集の数々で、日本の明敏なリスナーたちにも名手ぶりを印象づけている英国の気鋭古楽奏者ガリー・クーパー。彼ら2人の室内楽の名手が、折々に大先達ヤープ・テル・リンデンを交えながら送る「ふたりで3人分、3人で4人分」のソナタ集が登場!18世紀中盤の叙情あふれるロココ様式を、バッハの息子たちの忘れがたい作品群で堪能させてくれる。
  トリオ・ソナタは元来、低音と中音域を和声楽器が担当し、旋律部分を担当する二つの楽器のかけあいを伴奏してゆくというもの。しかし鍵盤楽器は一台でかなり充実した音楽を演奏できるから、鍵盤パートをきちんと書き込んで、旋律もひとつ受け持つ形にすれば、2人だけでもトリオができる・と「オブリガート(=必ず参加する)チェンバロ」と旋律楽器のための作品をせっせと書き始めたのが大バッハ。18世紀中〜後盤には、逆に鍵盤ソナタに「旋律楽器で助奏をつける」という形のソナタが流行(モーツァルトのヴァイオリン・ソナタも同様)。その狭間にどれほど美しく忘れがたい音楽が花咲いていたか――とにかくはまず聴いてみていただきたい。切なさと叙情、雄弁と歌心のすべてがここにある。録音の少ないJ.C.F.バッハの作品まで含め、6曲すべてが傑作…そう感じずにはおれない名演なのだ。


CD:EMCCD7760 Early-Music.com 国内盤 定価2,730円 「シュザンヌはある日」 イタリア・チェンバロ音楽の250年 〜ガブリエーリからガルッピまで

アンドレーア・ガブリエーリ(1532頃〜85)
クラウディオ・メルーロ(1533〜1604)
ジョヴァンニ・ガブリエーリ(1555〜1612)
アドリアーノ・バンキエーリ(1568〜1634)
ジョヴァンニ・ピッキ(活動期1600〜25頃)
ベルナルド・ストラーチェ(1664前後に活躍)
ベネデット・マルチェッロ(1686〜1739)
バルダッサーレ・ガルッピ(1706〜95)

1. ラ・ロデシャーナ(作者不詳)
2. わが愛しき女よ、誰のために死ぬのか(〃)
3. ファンタジア・アレグラ(A.ガブリエーリ)
4. 新しい記譜法による五つのガリアルダ(A.ガブリエーリ)
5. パッセメッツォ(A.ガブリエーリ)
6. 第9旋法によるフーガ(G.ガブリエーリ)
7. 第5旋法による第2トッカータ(メルーロ)
8. 第2ファンタジア(バンキエーリ)
9. シュザンヌはある日(メルーロ)
10. 第9ファンタジア(バンキエーリ)
11. パッセメッツォ(ピッキ)
12. チャコーナ(ストラーチェ)
13. ソナタ 変ロ長調(B.マルチェッロ)
14. ソナタ ホ短調(ガルッピ)

ティモシー・ロバーツ(チェンバロ)
  使用楽器:アレッサンドロ・トラスンティーノ1531年製作のモデルに基づきマーカム・ローズ゙製作(2種)

ティモシー・ロバーツ、経験の豊かさゆえの境地!
中世の名残り風な民謡編曲から初期古典派までチェンバロ語法の極致を堪能できる傑作が登場!

  英国ルネサンスの異才ファーナビーの作品集でソロ奏者としての闊達ぶりを見せつけてくれた古参実力派ティモシー・ロバーツがEarly-Music.comに録音した第2作は、なかなか聴く機会もない「フレスコバルディ以前」の16世紀作品を数多く収めている点で大いに注目したい!それだけでなく、時代を下って17世紀半ばのストラーチェや、はてはベネデッティ=ミケランジェリも折々そのソナタを愛奏したことで知られる初期古典派のガルッピまで、「イタリア・チェンバロ音楽の250年」という題の示すとおり幅広い時代からの作品集にもなっている。
  そうは言っても、やはり第一の聴き所は16世紀作品か。まだイギリスが鍵盤音楽の王国だった頃に花咲いた、やはりヴァージナル音楽のように精緻な変奏曲やら、リュート音楽を思わせる舞曲やら、あるいは初期バロックといってもいいような鮮烈なコントラストが魅力のピッキまで、あくまで多彩な音楽世界を、ロバーツは手堅く静謐な音楽性で静かに、細やかに描き上げてゆく。
  楽譜校訂から楽器構造の知識まで“古楽鍵盤楽器の周辺”のことなら何でもOKのロバーツだけに、ここでは確かな論拠とともに「2種類の1段鍵盤イタリア型チェンバロ」を使い分けている:古い音楽には8'とオクターヴ高い4'の弦を張ったもの、17世紀中盤以降の作品には8'を2列ダブらせて張ったもの、いずれも英国の名工ローズが製作した銘器だ。それぞれの楽器に見合ったタッチで、たおやかに、説得力豊かに響くその美音――隅々まで魅力たっぷりのチェンバロ・アルバムだ。


CD:EMCCD7753 国内盤 定価2,730円 J.S.バッハ:管弦楽組曲 第1番、およびチェンバロを含む協奏曲さまざま

ヨーハン・ゼバスティアン・バッハ(1685〜1750)

1. 7声の序曲 ハ長調 BWV1066 (管弦楽組曲 第1番)
2. ブランデンブルク協奏曲 第5番 ニ長調 BWV1050
3. 三重協奏曲 イ短調 BWV1044
4. 2台のチェンバロと弦楽のための協奏曲 ハ長調 BWV106

ヤープ・テル・リンデン指揮 アリオン・アンサンブル(古楽器使用)
シャンタル・レミヤール(vn)クレール・ギモン(ft)
ハンク・ノックス、リュク・ボーセジュール(cmb)

いかんなきアンサンブルの妙、ため息が出るほど美しい自然録音!
第一作から傑作だったEarly-Music.com―傑出した名手ぞろいの秀逸盤
  何はともあれ、この一枚なくして古楽コーナーの“いま”はない!
  このレーベルも古楽コーナーでスタートを切るわけで、となればこうしてバッハの管弦楽作品を収めたアルバムが一作含まれているのは実にめでたい。こういう、売り場の現状に即したリリースが期待できるのが、Early-Music.comの良いところだ。そのうえ指揮者はこちらも大御所ヤープ・テル・リンデン!(マニア向けの情報としては、テル・リンデン同様かつてムジカ・アンティクヮ・ケルンを支えたフィービー・カライ(vc)が通奏低音を支えているのも見逃せない。)
  プログラムは「管弦楽組曲 第1番」にはじまり、チェンバロを主役にすえた協奏曲が3曲つづく。うっすら切ない情緒を漂わせながらも決然と始まり、やがてオーボエやファゴット、ヴァイオリンなどが次々とあざやかな歌を披露する冒頭の管弦楽組曲からもう、アリオン・アンサンブルがいかに見事な音楽性をたたえた集団かがはっきりとわかることだろう(ふつふつと伝わってくる躍動感、各舞曲のコントラスト、愉悦あふれるソロの見事さ…!)。早すぎず遅すぎず、の「ブランデンブルク協奏曲 第5番」は、クレール・ギモンのフルートに代表される息遣い確かな音楽運びが心地よい。チェンバロのカデンツァも緩急の付け方が絶妙でついつい引き込まれてしまう。必要以上に深刻になり過ぎない「三重協奏曲」BWV1044での風情もこれまた美しく、最後の2台のチェンバロのための協奏曲ではリュク・ボーセジュールとハンク・ノックスという2名手が、互いに高めあうように対話を続けてゆくさまに(両楽器の微妙な音色の違いも鮮やかに)どんどん引きずり込まれてしまう――さくさくと進む緩徐楽章にも綺麗な悲哀が息づいていて、その美しいことといったら…。昨今の最先端ヨーロッパ古楽勢が鋭角的にエスプリをほとばしらせテンション高く迫るとしたら、こちらはずっとスロウな、純粋にバッハならではの音楽美と精緻な対位法の妙味をどこまでも素直に愉しませてくれるスタイル。それでいて心に沁みついて「いい音楽を聴いた!」という快さをいつまでも残してくれる、その存在感の確かさは筆舌に尽くしがたい。11月の来日公演が今から楽しみになってくる。
ジャケットを印象づけている、濃い青から遠くの乳白色へと移るモントリオールの空の色に、バッハの長調音楽独特のあの“うすらはかなさ”を重ねずにはおれない、美麗をきわめるバッハ・アルバムだ。


CD:EMCCD7754 国内盤 2,730円 モーツァルト:フルート四重奏曲(全4曲)

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト (1756〜91)

1. フルート四重奏曲 第1番 ニ長調 K.285
2. フルート四重奏曲 第2番 ト長調 K.285a
3. フルート四重奏曲 第3番 ハ長調 K.285b
4. フルート四重奏曲 第4番 イ長調 K.298

クレール・ギモン(フラウト・トラヴェルソ)
トリオ・ソネリー・・・モニカ・ハジェット(vn)、エミリア・ベンジャミン(va)、アリソン・マクジリヴレー(vc)

言わずと知れた大ヴェテラン、モニカ・ハジェットの名技健在!
キャリア豊富なギモン(ft)らとのアンサンブルは圧巻の一言、
生誕250周年に堂々日本上陸、古楽器による新・決定盤! 
  Early-Music.comからのモーツァルト・アルバムには、なんと大御所モニカ・ハジェットらが登場する。トリオ・ソネリー名義で集まった弦楽器奏者陣に、アリオン・アンサンブルのリーダーであるクレール・ギモンが加わるかたちで4曲の「フルート四重奏曲」を全曲収録。ピリオド楽器による同曲全集は思いのほか出てこない(コロムビアの有田盤とACCENTのクイケン兄弟盤のほかは、実のところ日本で手に入りやすい新録音がほとんどない)という現状を覆すに足る傑作アルバムに仕上げてくれた。
  ご存知のとおり、モーツァルトがマンハイム〜パリ旅行の途上で作曲したフルートのための一連の協奏曲や四重奏曲は、この天才がいやいやながら作曲した(にもかかわらず至高の名曲群になってしまった)ことで有名なわけだが、さすがは歴戦の名手が居並ぶ本盤、ガット弦とトラヴェルソの味わい深い“かすれ”が重なって醸し出されるまろやかな音響が、春先の模糊とした空気になんとも美しく溶け込んでゆくかのよう――そんな調和の中で各奏者はしっかりと個性を発揮、落ち着いた語り口のなか要所要所に繊細きわまる小憎い音運びを織り交ぜてゆくギモンのトラヴェルソの美音(大人びて巧妙になったリサ・ベスノシウクといった感じだ)もさることながら、アンサンブルをうまく統制するかのように出所をわきまえたモニカ・ハジェットの滋味あるヴァイオリン、折々にソロめいた音が響けば必ず心を打つベンジャミンのヴィオラとマクジリヴレーのチェロもこれまた見事。4人が4人とも“室内楽の心得のある”生抜きの名手であることの素晴らしさが、アルバム全体に漂っているのだ。丁々発止!という感じに暴れないのに、彼らそれぞれの個性はなんと鮮やかに浮き彫りになっていることか…。
  トラヴェルソ・ファンのみならずクラシック・ファン全域におすすめできる本作。生誕250周年に引っ掛けて美しい装丁のモーツァルト・アルバムを贈答用にお探しの方も、ぜひ注目していただきたい一作だ。


CD:EMCCD7755 国内盤 レール・ギモン(フラウト・トラヴェルソ)
リュク・ボーセジュール(チェンバロ)

テレマン:六つのコンセール/ゲオルク・フィリップ・テレマン(1681〜1767)/フルートと鍵盤のための六つのコンセール(全曲) 2,730円

リュク・ボーセジュール、堂々登場!名手ギモンとともにテレマンのミニマルな旨みを堪能させてくれる秀逸盤

クレール・ギモン(フラウト・トラヴェルソ)
リュク・ボーセジュール(チェンバロ)

 現代カナダが誇る気鋭古楽集団アリオン・バロック・オーケストラの主宰者であるトラヴェルソ奏者クレール・ギモンが、NAXOSやAnalektaでお馴染み・フランス語圏カナダを代表するチェンバリストのひとりリュク・ボーセジュールと組んで作り上げた当盤は、通奏低音に工夫を凝らし多数の奏者を置いたりする豪奢な編成でのバロック・ソナタ演奏が多いなか、トラヴェルソとチェンバロの二重奏という限定された編成のなかできわめて多彩で奥深い表現を聴かせてくれる頼もしい一枚だ。プログラムとなっているテレマンの「六つのコンセール」(フランス語タイトルながら、ハンブルクで1734年に出版された“伊仏混合様式”による作品集)も、実際にはデュオだけでなく、チェロやヴァイオリンを加えた大人数編成で弾いてもよい、との指示がある曲集なのだが、そこであえて最小編成を選んだ彼ら――そうすることで、この曲集がバッハの「オブリガート・チェンバロとヴァイオリンのためのソナタ」に匹敵する奥深さを秘めた傑作集であることを如実に印象づけてくれる。抑揚ゆたかなギモンの笛に隅々まで神経のゆきとどいたボーセジュールの鍵盤、肩肘はらない阿吽の呼吸で両者の出所を引き立てあう二人――国際リリースされたAnalektaでのボワモルティエ曲集で仏Repertoir誌の10点満点を獲得した彼らのアンサンブル能力は、ここでも遺憾なく発揮されているのだ。Early-Music.comが誇る秀逸録音も、演奏の質を見事に際立たせてくれる。ファン必聴の充実盤だ。


CD:EMCCD7756 国内盤 2,730円 ジャイルズ・ファーナビーの鍵盤音楽世界 / ジャイルズ・ファーナビー (1563頃〜1640)

1. ジャイルズ・ファーナビーの夢
2. ファンタジア(FVB232)
3. アップ・テイルズ・オール
4. 彼の休息
5. プレルディウム
6. ロザソリス
7. 徒刑囚の喜び
8. 去りがたくて
9. ファンタジア(FVB229)
10. タワー・ヒル〜そびえる丘
11. 或るトイ
12. 教えてくれ、ダフネ
13. 彼のユーモア
14. ファンタジア(FVB129)
15. ロシーターのガリアード
16. やましぎ
17. ファーナビーの妙案
18. 或るマスク
19. ファンタジア(FVB233)
20. 農夫のパヴァーン

ティモシー・ロバーツ(チェンバロ)
※使用楽器:ローデヴェイク・テーヴェス1579年製作のクラヴィオルガヌムに基づきマーカム・ローズが製作

イギリスの大御所鍵盤奏者ロバーツ、なんとソロで堂々登場――
しかも英国古楽もの、他の追従は許さぬ本場と本物の風格!
  レオンハルトも弾いた銘器で天才作曲家の粋に迫った傑作録音!
  古楽ファンにとってはhyperionの“English Orpheus”シリーズなどでみせた素晴らしい企画力と小気味よいフォルテピアノ&チェンバロ演奏によって、あるいはガブリエリ・コンソートをマクリーシュとともに支える通奏低音の要として“気になる存在”であり続けている英国の古参奏者ティモシー・ロバーツ。しかしhyperionであれほど手際の良いソロを聴かせて実力のほどを見せ付けているにもかかわらずソロ・アルバムは見当たらなかった――そこへ堂々このアルバムの登場だ。そのうえ演目は英国エリザベス朝時代のヴァージナル作曲家たちのなかでもとりわけ奥深い芸術性を誇る天才ジャイルズ・ファーナビーというからさらに見過ごせない。ファーナビー作品集も往年のピエール・アンタイ初期の名盤(ADDA)いらい意外に新作がなかったから注目度はなおさらだ――昨今NAXOSからもアメリカの古参グレン・ウィルソンによるアルバムが出たものの、本場英国の奏者だけが醸し出せる“あの独特の境地”(英国古楽がすっかり定着している日本のファンなら、よくご存知のはず!)はこのロバーツ盤でこそ味わえるというもの。まったく構えぬ自然体で音を連ねているのに、さながらミニアチュールに描かれた貴族たちのように寛いだ気品がそこに漂うさまは流石というほかはない――ファーナビーならではの永遠に続くような旋律の流転が、ゆったりめのテンポのなか、独特の微妙な掛留音やミーントーン調律できわだつ転調時の“浮遊感”を折々に感じさせつつ静かに解きほぐされてゆくさまには、老練な古楽リスナーもきっと舌を巻くはず!
  英国の教会をセッション会場に、楽器に近すぎず遠すぎずのマイクセッティングで手際よく録ったエンジニアリングもさることながら、この美しき楽音の正体はやはり、ローデヴェイク・テーヴェス1579年製楽器を周到に検分して作り上げられたマーカム・ローズの銘器からくるものだろう。実はこれ、レオンハルト御代もバード・アルバム(Alpha073)のセッションで弾いている楽器。気になる方はぜひ双方あわせて聴き比べを――もちろん、両作とも単独で末代まで愛聴に値する傑作盤だが。


CD:EMCCD7761 国内盤 2,730円 「一糸まとわぬ彼女の美しさ」 18世紀スコットランドの音楽 〜伝統と、バロックと〜

アリソン・メルヴィル(リコーダー、トラヴェルソ)

マイケル・ジャーヴィス、ポール・ジェンキンズ(cmb)
メアリ=キャスリン・フィンチ(vc)
カーク・エリオット(hrp/g) ベン・グロスマン(perc)

1. 凍てつくような寒い朝(オズワルド)
2. アヒルの足 〜『四季:春』より(オズワルド)
3. ビールと食事の店バノック亭(伝統旋律/ビウィック編曲)
4. イーウィスの山並(オズワルド)
5. バランダインの山並(伝統旋律/エドワード・ミラー編曲)
6. 踊れ、踊れよ、痩身の嫁さんよ(伝統旋律/バルサンティ編曲)
7. ソナタ 第12番 変ロ長調 (マクリーン)
8. 麗しき五月の朝/マーガレット・マクドナルド(伝統旋律/フレイザー蒐集)
9. 荒野の鐘の音 〜『四季:夏』より (オズワルド)
10. かわいいナンシー(伝承旋律/オズワルド編曲)
11. 兄弟の死に寄せる哀歌 (N.ガウ)
12. アイラからウイストへ漕いでゆく(J.N.N.ガウ/フレイザー蒐集)
13. わらで彼女をこすりあげろ (マンロウ)
14. ト長調のソナタ (マクリーン)
15. スコットランド流のユーモアに倣ったグラウンド(マッテイス)
16. 一糸まとわぬ彼女の美しさ(オズワルド)/メアリは若くて清らかで(フレイザー蒐集)
17. マギー・ラウダー(オズワルド)
18. くしゃみを誘う、この麦汁 〜『四季:秋』より(オズワルド)
19. エプロンつけた、いとしいおまえ(オズワルド)
20. 砂糖飴と、ちびのいたずらジョン(オズワルド)
21. グリーンスリーヴズ(オズワルド)
22. おやすみなさい、神がそばにおられますよう(作者不詳)

悠々と艶やかな、トラヴェルソとリコーダーの名技に酔う…懐かしい民謡旋律。何と豊かなスコットランドのバロック!

 ヘンデル、ジェミニアーニ、アーベル&J.C.バッハ…と、イングランド(ロンドン)やアイルランド(ダブリン)のバロック音楽は相当ディスコグラフィも充実している昨今――に、このところスコットランドのバロック音楽のアルバムも徐々に増えつつある。本盤はそうしたスコットランドならではの作品群の魅力を、カナダ現代が誇る古楽笛のスーパープレイヤー、アリソン・メルヴィルが縦横無尽、自由闊達な吹奏で味あわせてくれる秀逸アルバム――それも、ライト・ユーザーにもヘヴィ・ユーザーにも双方アピールする要素が詰まった有難いアルバムなのだ。
  世紀初頭に王位がイングランド王に兼任されるようになって以来、イギリスの辺境となりつつも逆に文化的伝統への情熱が高まった18世紀スコットランド。「庭の千草」などで有名な5音階の長閑な民謡には、はるばるイタリアからやってきたマッテイスやバルサンティといった連中まで魅了され、作曲家たちは変奏曲やソナタにそうした旋律をうまく織り込んでいった…ロンドンの音楽シーンの一環としてではなく、スコットランド側からバロック音楽を捉えたプログラムの綿密さもさることながら、無伴奏または通奏低音つきトラヴェルソ(4トラックほど感動的に見事なリコーダー吹奏もあり)に焦点を絞り、全体として堅苦しさとは無縁な、ニューエイジにも通じるオーガニックな癒しサウンドに仕上げているのが素晴らしい。テクニックはいわずもがな、説得力豊かな音楽運びで悠々と歌い上げられる笛の音の美しいこと! 妖艶美麗なジャケットもまた良し、店頭演奏で一般層もどんどん呼び込める“わかりやすくも奥深い”良質盤なのだった。