トップ
 CDカタログ
 LPカタログ
 SACD
 レコード芸術特選盤
 コンサート
 会社概要
 リンク
 マップ
 ご意見
 
Copy right 1999-2005
Mercury Web Site
All rights reserved.
アーリー・ミュジック CD


EMCCD7763 ★テレマン:フルートとリコーダーーのための協奏曲集/J.テル・リンデン指揮Ens.アリオン

EMCCD7753 ★バッハ:管弦楽組曲第1番、チェンバロを含む協奏曲さまざま/J.テル・リンデン指揮Ens.アリオン

EMCCD7754 ★モーツァルト:フルート四重奏曲(全4曲)/C.ギモン(ft)Mハジェット(vn)他

EMCCD7756 ジャイルズ・ファーナビー:鍵盤のための作品集/ティモシー・ロバーツ(cmb)

EMCCD7759 クラヴィシテリウムで弾くダングルベールのクラヴサン作品集/ハンク・ノックス(cmb)

EMCCD7755 2006年9月発売予定 テレマン:フルートと鍵盤のためのコンセール集/クレール・ギモン(ft)リュク・ボーセジュール(cmb)

EMCCD7757 2006年7月発売予定 マリア、神の母親〜ヴィヴァルディ、スカルラッティ他の独唱モテット/アニェス・メロン(S)Ens.アリオン

EMCCD7758 2006年9月発売予定 美しき殺戮者〜フランス17世紀、クラヴサン音楽の黎明期/ジョアンヌ・クチュール(cmb)

EMCCD7760 2006年7月発売予定 シュザンヌはある日〜16世紀イタリアのめくるめく鍵盤音楽世界/ティモシー・ロバーツ(cmb)

EMCCD7761 2006年7月発売予定 一糸まとわぬ彼女の美しさ〜18世紀スコットランドの笛のための音楽/アリソン・メルヴィル(ft,bfl)他

EMCCD7762 2006年9月発売予定 バッハからモーツァルトへ〜大バッハの息子たちとモーツァルトの室内楽/ENS.アリオン

 マーキュリーより、フランス語圏カナダの新しい古楽レーベル『Early-Music.com(アーリーミュージック・ドットコム)』の新規取扱をご紹介いたします。
  カナダの古楽シーンといえば、まずは1990年代にHyperionやSONYであまたの名盤を続出した俊英古楽団体ターフェルムジークを誰もが思い浮かべるところでしょうが、熱心な古楽ファンの方々ならNAXOSで多くの名盤を出しているチェンバロ奏者リュク・ボーセジュールやケヴィン・マロン率いるアラディア・アンサンブルなどといった実力派たちの素晴らしい演奏、珍しいグラウプナーの鍵盤作品群をAnalektaレーベルで録音しつづけているジュヌヴィエーヴ・ポリ、すでに長いキャリアを誇るヴィオラ・ダ・ガンバ・ユニットのレ・ヴォワズュメーヌ、何かと気になる企画を世に問い続けているATMAレーベルなどに触れ、すでにフランス語圏カナダの古楽界が欧州に劣らず相当なハイレヴェルに達していることを薄々感じておられるかもしれません。今回ご紹介するEarly-Music.comはまさしくそうした予感を裏づけてあまりある...というよりもむしろそうした古楽土壌の中心に位置すると言っても過言ではない強力レーベルで、すでに10タイトルを越えているアイテムはどれをとっても充実度・注目度ともに満点、中には古くからヨーロッパの古楽シーンで活躍を続けてきたメジャーアーティストを含む強力盤も少なくありません。

 中心となるのは、本年11月に全国的な来日公演を控えている古楽集団アリオン・アンサンブル。ターフェルムジークと欧州屈指のアンサンブルで腕を磨いてきたカナダきっての名手たちが集うアンサンブルで、主宰者のひとりであるトラヴェルソ奏者クレール・ギモンがAnalektaや当Early-Music.comで録音してきたCDがフランス屈指の音楽雑誌Le Monde de la MusiqueやDiapasonでも高い評価を勝ち得ているほか、20世紀末にドイツとイギリスの古楽シーンを切り開いてきた名チェロ奏者ヤープ・テル・リンデン、フランス屈指の古楽ソプラノ歌手アニェス・メロン、かつてトン・コープマンの片腕として鳴らしたのちヨーロッパのみならず世界中の英語圏で活躍を続けている超実力派バロック・ヴァイオリン奏者モニカ・ハジェットなど、すでに日本のファンにもその名がよく知られた大御所たちがソロならびに指揮者としてしばしば共演しているという重要グループです。今回のリリース・アイテムに聴くとおり、その演奏の確かさはすでにヨーロッパ随一の様々な楽団に何ら引けをとるものではありません――統一感あるアンサンブルは英国古楽陣のそれを、各奏者の自発性あふれるプレイはフランス古楽陣のそれを思わせる、まさに両言語が生きているカナダならではの個性は必ずや日本のクラシック・ファンをも魅了することでしょう。

 そのほかのアーティストとしては、英国古楽界の大御所でありながらなぜかソロ・アルバムを作らず企画者・通奏低音奏者に徹していたチェンバリストのティモシー・ロバーツの存在もはずせません。満を持して本レーベルで録音された2作のソロ・アルバム(うち一作は今回さっそく日本発売)では英国の古楽奏者ならではの“あの”堂々とした寛ぎの感覚をさらりと身にまといつつ、細やかな解釈で本場のエリザベス朝音楽を聴かせたり、流暢をきわめる十指でイタリアの超絶技巧変奏曲を弾きこなしたり、と目覚しいばかりの活躍ぶりを見せています。
  チェンバリストの層が厚いのもEarly-Music.comの良いところ――上述の名手リュク・ボーセジュールはアリオンの独奏者として、またクレール・ギモン(ft)のよきタッグ相手として俊英ぶりをいかんなく見せつけていますし、他にも知られざる実力派ハンク・ノックスや、リュート楽曲の編曲を数多く含む意欲的なフランス・クラヴサン曲アルバムを作り上げたジョアンヌ・クチュールといった新進奏者たちもヴェテラン顔負けの素晴らしい演奏を披露してくれます。アルバムごとのコンセプトの明確さとキャッチーさも立派なもの、まったくのクラシック初心者から長年のリスナーにいたるまで幅広く楽しめる“ちょうどよい間合い”をうまく心得たアルバムの数々は、売り場の現状にうまく合致しているにとどまらず、各バイヤー様の意向にあわせて様々な販売戦略・棚構成に組み込んでゆけるフレキシブルさを秘めているといえるでしょう。
  また――マーキュリー取扱商品の常どおり――パッケージの美しさと録音エンジニアリングの鮮やかな手際も特筆もの。きわめて自然な音の響きを大切にして、ヨーロッパ随一の優秀録音の数々とも立派に渡り合える境地に達しており、音響に一家言あるヘヴィユーザーにもぜひ聴き究めていただきたいところです。

 同レーベルのアルバムはすべて、日本語オビ&解説つきの国内盤仕様でリリースいたします。まずは連休をはさんで5タイトルが登場、その後はアリオン・アンサンブルの来日前、おそらくは夏と秋にそれぞれ数枚ずつ新たにご紹介してゆく予定です。ぜひご注目ください

 


CD:EMCCD7763 定価 2,730円 テレマン:フルートやリコーダーのための協奏曲あれこれ / ゲオルク・フィリップ・テレマン (1678〜1767)

1. 合奏協奏曲 TWV53:e1
〜2本のフルート、ヴァイオリン、弦楽合奏と通奏低音のための

2. 二重協奏曲 イ短調 TWV52:a1
〜リコーダー、ヴィオラ・ダ・ガンバ、弦楽合奏と通奏低音のための

3. リコーダー協奏曲 ヘ長調TWV51:F1
  〜リコーダー、弦楽合奏と通奏低音のための

4. 合奏協奏曲 ロ短調 TWV53:h1
  〜2本のフルート、ファゴット、弦楽合奏と通奏低音のための

5. 二重協奏曲 変ロ長調TWV52:B1
  〜2本のリコーダー、弦楽合奏と通奏低音のための

6. 二重協奏曲 ホ短調 TWV52:e1
  〜フルート、リコーダー、弦楽合奏と通奏低音のための

ヤープ・テル・リンデン(vc/vg/指揮)
アリオン・アンサンブル (古楽器使用)

ターフェルムジークを追い落とすカナダ最高の古楽集団、登場!
テレマンの魅力を120%堪能させるエキサイティングな圧倒的名演
  "カナダのグラミー"ジュノー賞にもノミネート。必聴のクオリティ!
  Early-Music.comのポテンシャルを端的に味わいたければ、何はともあれ、まずはこのアルバムから聴いていただきたい――フラウト・トラヴェルソとリコーダーを核に、バロック・ファゴットやヴィオラ・ダ・ガンバなど意外なソロ楽器も入り混じりつつ闊達な技量とともに織り上げられてゆく、ヴァラエティ豊かなテレマンの協奏曲集だ。文句なしのハイ・クオリティのほどが買われて、ご存知「カナダのグラミー賞」ともいうべき大規模音楽賞であるジュノー賞のクラシカル部門にも堂々ノミネートされてしまった…と聞けば期待感も高まるだろうか?いや実際、その期待を裏切らない素晴らしいアルバムなのである。
  冒頭ページでお伝えしたとおり、アリオン・アンサンブルはターフェルムジーク他有数の古楽団体で腕を磨いた若き奏者たちが集まり、ATMAなどカナダの既存レーベルで録音経験を積んだのちEarly-Music.comを立ち上げて独立。各パートに見せ場がありそれぞれに自立性を求められるテレマンの多声協奏曲の数々こそ、彼ら一人一人の技量の確かさを印象づけるにふさわしい――リーダーのC.ギモンの修辞感覚たしかなトラヴェルソ、抑揚豊かに旋律を歌いあげるCh.レミヤールのヴァイオリン、そしてM.モーティがヘ長調のリコーダー協奏曲で聴かせる、シェークもターンもアクサンも自由自在な縦横無尽の吹きまわし(三半規管に糸を通されて思うがままに操られる思い!)、長調から短調に転じる瞬間の見事さ、まろやかに連なる細かな音符・・・そして彼ら自発性あふれる気鋭奏者たちを鮮やかに一つに纏め上げる、熟練の音楽家ヤープ・テル・リンデンの的確な指揮に舌を巻かずにはいられない(若き日のアルノンクール同様、チェロを弾きつつ指揮をしているもよう)。さらに贅沢なことに、なんとテル・リンデン自らヴィオラ・ダ・ガンバを手に1曲ソロを買って出ている――彼のガンバを聴けるなんて、大昔のMAK時代以来の快挙?たおやかに美音のリボンをはためかせるような、その鮮やかな音色がリコーダーとからむ至福の瞬間…。
  バロック・ファンや管楽器ファンのみならず、王道クラシック・ファンにも是非おすすめ。ご覧の通りの美麗外装ゆえ、贈答用にもぴったりだ。


CD:EMCCD7753 国内盤 定価2,730円 2006年5月下旬発売予定 J.S.バッハ:管弦楽組曲 第1番、およびチェンバロを含む協奏曲さまざま

ヨーハン・ゼバスティアン・バッハ(1685〜1750)

1. 7声の序曲 ハ長調 BWV1066 (管弦楽組曲 第1番)
2. ブランデンブルク協奏曲 第5番 ニ長調 BWV1050
3. 三重協奏曲 イ短調 BWV1044
4. 2台のチェンバロと弦楽のための協奏曲 ハ長調 BWV106

ヤープ・テル・リンデン指揮 アリオン・アンサンブル(古楽器使用)
シャンタル・レミヤール(vn)クレール・ギモン(ft)
ハンク・ノックス、リュク・ボーセジュール(cmb)

いかんなきアンサンブルの妙、ため息が出るほど美しい自然録音!
第一作から傑作だったEarly-Music.com―傑出した名手ぞろいの秀逸盤
  何はともあれ、この一枚なくして古楽コーナーの“いま”はない!
  このレーベルも古楽コーナーでスタートを切るわけで、となればこうしてバッハの管弦楽作品を収めたアルバムが一作含まれているのは実にめでたい。こういう、売り場の現状に即したリリースが期待できるのが、Early-Music.comの良いところだ。そのうえ指揮者はこちらも大御所ヤープ・テル・リンデン!(マニア向けの情報としては、テル・リンデン同様かつてムジカ・アンティクヮ・ケルンを支えたフィービー・カライ(vc)が通奏低音を支えているのも見逃せない。)
  プログラムは「管弦楽組曲 第1番」にはじまり、チェンバロを主役にすえた協奏曲が3曲つづく。うっすら切ない情緒を漂わせながらも決然と始まり、やがてオーボエやファゴット、ヴァイオリンなどが次々とあざやかな歌を披露する冒頭の管弦楽組曲からもう、アリオン・アンサンブルがいかに見事な音楽性をたたえた集団かがはっきりとわかることだろう(ふつふつと伝わってくる躍動感、各舞曲のコントラスト、愉悦あふれるソロの見事さ…!)。早すぎず遅すぎず、の「ブランデンブルク協奏曲 第5番」は、クレール・ギモンのフルートに代表される息遣い確かな音楽運びが心地よい。チェンバロのカデンツァも緩急の付け方が絶妙でついつい引き込まれてしまう。必要以上に深刻になり過ぎない「三重協奏曲」BWV1044での風情もこれまた美しく、最後の2台のチェンバロのための協奏曲ではリュク・ボーセジュールとハンク・ノックスという2名手が、互いに高めあうように対話を続けてゆくさまに(両楽器の微妙な音色の違いも鮮やかに)どんどん引きずり込まれてしまう――さくさくと進む緩徐楽章にも綺麗な悲哀が息づいていて、その美しいことといったら…。昨今の最先端ヨーロッパ古楽勢が鋭角的にエスプリをほとばしらせテンション高く迫るとしたら、こちらはずっとスロウな、純粋にバッハならではの音楽美と精緻な対位法の妙味をどこまでも素直に愉しませてくれるスタイル。それでいて心に沁みついて「いい音楽を聴いた!」という快さをいつまでも残してくれる、その存在感の確かさは筆舌に尽くしがたい。11月の来日公演が今から楽しみになってくる。
ジャケットを印象づけている、濃い青から遠くの乳白色へと移るモントリオールの空の色に、バッハの長調音楽独特のあの“うすらはかなさ”を重ねずにはおれない、美麗をきわめるバッハ・アルバムだ。


CD:EMCCD7754 国内盤 定価2,730円 モーツァルト:フルート四重奏曲(全4曲)

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト (1756〜91)

1. フルート四重奏曲 第1番 ニ長調 K.285
2. フルート四重奏曲 第2番 ト長調 K.285a
3. フルート四重奏曲 第3番 ハ長調 K.285b
4. フルート四重奏曲 第4番 イ長調 K.298

クレール・ギモン(フラウト・トラヴェルソ)
トリオ・ソネリー・・・モニカ・ハジェット(vn)、エミリア・ベンジャミン(va)、アリソン・マクジリヴレー(vc)

言わずと知れた大ヴェテラン、モニカ・ハジェットの名技健在!
キャリア豊富なギモン(ft)らとのアンサンブルは圧巻の一言、
生誕250周年に堂々日本上陸、古楽器による新・決定盤! 
  Early-Music.comからのモーツァルト・アルバムには、なんと大御所モニカ・ハジェットらが登場する。トリオ・ソネリー名義で集まった弦楽器奏者陣に、アリオン・アンサンブルのリーダーであるクレール・ギモンが加わるかたちで4曲の「フルート四重奏曲」を全曲収録。ピリオド楽器による同曲全集は思いのほか出てこない(コロムビアの有田盤とACCENTのクイケン兄弟盤のほかは、実のところ日本で手に入りやすい新録音がほとんどない)という現状を覆すに足る傑作アルバムに仕上げてくれた。
  ご存知のとおり、モーツァルトがマンハイム〜パリ旅行の途上で作曲したフルートのための一連の協奏曲や四重奏曲は、この天才がいやいやながら作曲した(にもかかわらず至高の名曲群になってしまった)ことで有名なわけだが、さすがは歴戦の名手が居並ぶ本盤、ガット弦とトラヴェルソの味わい深い“かすれ”が重なって醸し出されるまろやかな音響が、春先の模糊とした空気になんとも美しく溶け込んでゆくかのよう――そんな調和の中で各奏者はしっかりと個性を発揮、落ち着いた語り口のなか要所要所に繊細きわまる小憎い音運びを織り交ぜてゆくギモンのトラヴェルソの美音(大人びて巧妙になったリサ・ベスノシウクといった感じだ)もさることながら、アンサンブルをうまく統制するかのように出所をわきまえたモニカ・ハジェットの滋味あるヴァイオリン、折々にソロめいた音が響けば必ず心を打つベンジャミンのヴィオラとマクジリヴレーのチェロもこれまた見事。4人が4人とも“室内楽の心得のある”生抜きの名手であることの素晴らしさが、アルバム全体に漂っているのだ。丁々発止!という感じに暴れないのに、彼らそれぞれの個性はなんと鮮やかに浮き彫りになっていることか…。
  トラヴェルソ・ファンのみならずクラシック・ファン全域におすすめできる本作。生誕250周年に引っ掛けて美しい装丁のモーツァルト・アルバムを贈答用にお探しの方も、ぜひ注目していただきたい一作だ。


CD:EMCCD7756 国内盤 定価2,730円 ジャイルズ・ファーナビーの鍵盤音楽世界

ジャイルズ・ファーナビー
         (1563頃〜1640)

1. ジャイルズ・ファーナビーの夢
2. ファンタジア(FVB232)
3. アップ・テイルズ・オール
4. 彼の休息
5. プレルディウム
6. ロザソリス
7. 徒刑囚の喜び
8. 去りがたくて
9. ファンタジア(FVB229)
10. タワー・ヒル〜そびえる丘
11. 或るトイ
12. 教えてくれ、ダフネ
13. 彼のユーモア
14. ファンタジア(FVB129)
15. ロシーターのガリアード
16. やましぎ
17. ファーナビーの妙案
18. 或るマスク
19. ファンタジア(FVB233)
20. 農夫のパヴァーン

ティモシー・ロバーツ(チェンバロ)
※使用楽器:ローデヴェイク・テーヴェス1579年製作のクラヴィオルガヌムに基づきマーカム・ローズが製作

イギリスの大御所鍵盤奏者ロバーツ、なんとソロで堂々登場――
しかも英国古楽もの、他の追従は許さぬ本場と本物の風格!
  レオンハルトも弾いた銘器で天才作曲家の粋に迫った傑作録音!
  古楽ファンにとってはhyperionの“English Orpheus”シリーズなどでみせた素晴らしい企画力と小気味よいフォルテピアノ&チェンバロ演奏によって、あるいはガブリエリ・コンソートをマクリーシュとともに支える通奏低音の要として“気になる存在”であり続けている英国の古参奏者ティモシー・ロバーツ。しかしhyperionであれほど手際の良いソロを聴かせて実力のほどを見せ付けているにもかかわらずソロ・アルバムは見当たらなかった――そこへ堂々このアルバムの登場だ。そのうえ演目は英国エリザベス朝時代のヴァージナル作曲家たちのなかでもとりわけ奥深い芸術性を誇る天才ジャイルズ・ファーナビーというからさらに見過ごせない。ファーナビー作品集も往年のピエール・アンタイ初期の名盤(ADDA)いらい意外に新作がなかったから注目度はなおさらだ――昨今NAXOSからもアメリカの古参グレン・ウィルソンによるアルバムが出たものの、本場英国の奏者だけが醸し出せる“あの独特の境地”(英国古楽がすっかり定着している日本のファンなら、よくご存知のはず!)はこのロバーツ盤でこそ味わえるというもの。まったく構えぬ自然体で音を連ねているのに、さながらミニアチュールに描かれた貴族たちのように寛いだ気品がそこに漂うさまは流石というほかはない――ファーナビーならではの永遠に続くような旋律の流転が、ゆったりめのテンポのなか、独特の微妙な掛留音やミーントーン調律できわだつ転調時の“浮遊感”を折々に感じさせつつ静かに解きほぐされてゆくさまには、老練な古楽リスナーもきっと舌を巻くはず!
  英国の教会をセッション会場に、楽器に近すぎず遠すぎずのマイクセッティングで手際よく録ったエンジニアリングもさることながら、この美しき楽音の正体はやはり、ローデヴェイク・テーヴェス1579年製楽器を周到に検分して作り上げられたマーカム・ローズの銘器からくるものだろう。実はこれ、レオンハルト御代もバード・アルバム(Alpha073)のセッションで弾いている楽器。気になる方はぜひ双方あわせて聴き比べを――もちろん、両作とも単独で末代まで愛聴に値する傑作盤だが。


CD:EMCCD7759 国内盤 定価2,730円 2006年5月下旬発売予定 ダングルベール:クラヴサンのための作品集

ジャン=アンリ・ダングルベール
            (1629〜91)

1. クラヴサンのための組曲 ニ短調
2. シャンボニエール氏のトンボー
3. クラヴサンのための組曲 ト短調
  (リュリの序曲やエールの編曲を多数含む)
4. クラヴサンのための組曲 ト長調 (リュリ「ロラン」の妖精のリトルネル、 「ファエトン」のシャコンヌを含む)

ハンク・ノックス(クラヴィシテリウム)
  使用楽器:アルベール・ドラン1768年製作のクラヴィシテリウムに基づきイヴ・ボプレが2002年に製作

ハープ型?キリン型?世にも稀なるアップライトのクラヴサン。
17世紀最大の名手ダングルベールのめくるめく音楽世界を
  水際立った名演で味わいつくす。リュリ編曲ももちろん収録!
  ルイ・クープランやフローベルガー、シャンボニエールらと並んで17世紀のフランス・クラヴサン音楽界を代表する重要作曲家ダングルベール。近日発売のAlpha074も含め折にふれてアルバムのリリースはなされてきているものの、ちゃんと安定供給されて手ごろに入手できる新しい名盤となると、どういうわけか見当たらないのが現状だ(トラミエの秀逸盤も輸入盤で、なかなか見かけなかったり…)。Alphaの新譜のほうも充実企画ながら2枚組…といった現状を打破してくれるであろう待望の新作がここに登場! さきに紹介したテレマン作品集でも手堅い通奏低音を聴かせ、バッハ・アルバムでは名手ボーセジュールとともに細やかなソロを聴かせてくれている謎の俊英ハンク・ノックスが、いかにも17世紀フランス!といった物腰柔らか&気品のただよう演奏で聴かせてくれる1枚ものの秀逸アルバムなのである。
  ノックスはカナダの名門マクギル大学を卒業後パリに渡り同郷の大先達ケネット・ジルベール(つまりケネス・ギルバート)に師事。確かに何となくこの師匠ゆずりの“気品ある穏やかさ”が感じられる弾き方をする人だ。今ではアリオンの通奏低音を支える傍ら母校マクギル大でオペラ・プロジェクトを指揮している…というあたりは何やらケネス・ワイスやクリストフ・ルセ、ウィリアム・クリスティといった手合いと似たキャリア形成で、組曲にダイナミックな物語性をもたせながら曲ごとの性格を綺麗に弾き分ける巧さはこの劇音楽での経験から来るものだろう。なかなか将来的にも楽しみな逸材ではないか!
  ところでこのアルバム、使われている楽器がやや風変わりなのも注目ポイント。なんと世にも珍しい“アップライト型クラヴサン”クラヴィシテリウムを弾いているのだ(ジャケット写真が見えるだろうか…)。基本的には一般的なクラヴサンと大差はないものの、心もち、よりはっきりと音の粒が感じられるように思われる。古い調律によるウルフトーンを介した転調も意義深長、シャンボニエールを追い落として宮廷一の名手となったダングルベールの芸風を余すところなく味わえる秀逸盤となっている。